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小さなキューピッド ②
暫くして、タイランが戻ってきた。
「ザフェルの家、直ぐにわかった?」 「ああ」 「家族、どんな人たちだった?」 「・・・・・」 「タイラン・・・?」 何故だかタイランの口は重かった。 問い詰めると・・・やっと口を開いた。 「ザフェルの母親は、ウクライナから出てきた売春婦だよ」 ( ̄□ ̄;)!! 「・・・・恐らく、父親はトルコ人の客だろう」 ザフェルは昼間タイランに、ある事を告白したのだという。 自分の母親が売春婦で、ホテルや街行く男に声を掛け、 客として連れて来るよう言われているのだと。 だから、タイランがザフェルを連れて行った時も、母親はタイランを客だと思ったらしい。 その時ザフェルは必死で、タイランは客じゃない。だからそういうことをしないで! お姉ちゃんが悲しむからやめて! と、言ったのだそうだ。 母親はタイランの前でザフェルを罵って叩き、タイランが 「僕はあなたの仕事より、子供を虐待したらそれに関しては黙って 見過ごすわけには行かないですよ?」 と仲裁し牽制したら、止めたらしい。 「それに、彼の『仕事』も立派な精神的虐待だ。これで最後に」 といってお金をあげたら「わかった」とだけ言い、 ザフェルと一緒に部屋に入ってそれからは応答がなかったらしい。 「ザフェル・・・(´;ω;`) 」 「ザフェルは、だから最初僕にも家に来させようとしなかった。 お母さんが僕を引き込むんじゃないかと思っていたんだろう。 僕は大丈夫だよ。だから心配するな。って言ったんだ。彼は何度も 『絶対だよ。お姉ちゃんが悲しむから、絶対だよ。お兄ちゃんを信じたよ』って・・・」 泣き出す私にタイランは、 「残念だけど、僕らが彼にしてあげられる事はここまでだよ。 辛い事を聞かせてしまってごめん」 と言いながら、自分も目を赤くしていた。 ザフェルと私を思い、愛情で包んでくれたタイラン。 私とタイランを愛してくれ、必死で守ってくれた小さなザフェル。 そして、そのザフェルに圧し掛かる過酷すぎる現実・・・・・。 それ以降、ザフェルを見かける事はなかった。 タイランの脅し(?)が効いて母親が辞めさせたのか、 それとも、もうこの街にはいないのか。 後日、気になってタイランとザフェルの家に行ったが、越してしまっていて 消息はとうとうつかめなかった。 イスタンブルで、ザフェル位の年齢の男の子を見かけると思わず目で追い、 探してしまう。 そんな私に気付くと、タイランはなんとも言えない表情をする。 ザフェルのお陰で私たちが、結婚後どんな「ババ」と「アンネ」になるのか イメージする事が出来、「この人となら・・・」との思いを、確かなものに 出来たのではないかと思う。 甘い、でも、切ない想い出となってしまったけれど・・・。 「ザフェルはかわいそうだけれど、でも、世の中にはもっと不幸な子供達が 沢山いる。彼ならきっと、どんな境遇でも負けずに生きて行けると僕は思うよ」 「ザフェル、勉強したいと言ってたよね。いつの日か、タイランの大学に入って来て 再会出来たらいいな・・・・・」 「そうだね^^」 今日もどこかで、ザフェルが無邪気に笑える1日を過ごしている事を、 遠い日本から願って・・・。 ↓ ランキングに参加しています☆ぽちぽちっとクリックお願いします ^^ ↓
by bizim
| 2010-11-07 10:08
| İstanbul'dan
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