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"yarım" (やるむ) とはトルコ語で はんぶん の意味。  İstanbul と Tokyo 半々生活のふたりのおはなし。
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理由 わけ  前編

マルマラ海沖のプリンスィズ諸島のとある島に、タイランのおばあちゃんが住んでいる。
島はイスタンブル市民のちょっとした日帰り観光地になっていて、
カバタシュ等から船が出ている。

タイランとの交際もそれなりに月日を重ねて安定し始めた頃、
「ada(島)のおばあちゃんに会いに行こう^^!」
と、提案された。

トルコ人は日本人と違って、直ぐに両親等の身内に紹介して
くれるが(日本だと、重たい事だけれど)
それでもタイランの話にかねがね上っていた、彼の大好きな
adaのおばあちゃんに会わせて貰えると言うのは、なんだかちょっと
恋人として格が上がったようで嬉しかった。


タイランの趣味のひとつ、サイクリングも兼ねて、マウンテンバイク
持参で船に乗り込む。
私は以前この島々に行った事があったが、再訪は久しぶりだった。
船の中は欧州からの団体観光客でごった返していた。

喧騒を避けデッキに陣取り、イスタンブルの街並みをふたり海から眺める。
私はイスタンブルで船に乗るのが大好きだ。
渡し船に乗って潮風に吹かれる時、「ああ、イスタンブルにいる!」
そう実感出来るからだ。

「そうなんだ~。僕らからすればごく日常的な風景だからなあ~」

タイランは眩しそうに天を仰ぎ、頭に載せていたサングラスをかけた。
そこに私の笑顔が映る。
こんなふうにタイランの目には映っているのかと、なんだか自分が
タイランになったようで不思議な気持ちになる。




 「私ね、いいもの持って来たんだ~^^!」

私はリュックの中からパンを取り出した。


カモメにあげるために持ってきたパンを目指して、船の周りには既に沢山の
カモメが飛来していた。
ちぎって投げると、実に上手くキャッチする。

 「タイラン、あの子にあげてよ!」

私はあるカモメを指さした。

「なんで?」

 「だって、小さくて痩せてるもん」


そう言った私の頬をつねり、「tamam canım :) (OK) 」にっこりと笑って
タイランがちびカモメに向かってパンを投げる。
すると、大きなカモメが威嚇するように割り込み、パンを横取りした。

 「ああっ!なにあいつ!ムカつくっ!!」

「逃げちゃうから、ムリだよ :( 」

 「イヤだ!あの子にあげたい!!」


何度投げても、ちびカモメはパンにありつけなかった。
私は細かくちぎった沢山のパンをタイランに渡し、それをカモメの群れの
やや後方に投げるようにお願いした。
私は一縷の望みをかけ、自分が手に持ったパンをちびに向け見せた。

 「いい?これは下に投げるから、絶対に食べるのよ!!!」

必死な私を、タイランは半ば呆れた笑顔で見守っている。

ちびカモメは「うん。わかった」そう言っているようにも見えた。

「3、2、1、0!」

タイランが空めがけて投げたパンに、多くのカモメが群がった。
私が低く、水平に投げたパンは、海面に向かってしなやかな弧を描いた。
パンが着水した。
失敗に終わったかと思った瞬間、カモメがそれに食いついた。
ちびカモメだった。

「やった!!!」

私とタイランは、思わずハイタッチをしてしまった。

「凄いなジェイダ。カモメと会話出来るんだな(笑)」

 「うふふ^^*」


島に着く。
おばあちゃんの家までは、サイクリングを楽しむ。

トルコでyazlık(ヤズルック 別荘)を持つのは、日本で言うほどは特別なものではない。
こんな近くの島に別荘があれば、週末に気軽に行けていいなあ~と思う。

「でも、ここらはそうそう安くは無いよ」

 「そうなんだ~」

確かに、お金持ちが住んでいそうな立派なyazlıkが沢山。

ふたり風の如く静かな島の道を走り抜ける。海と、緑と、ゆったりとした時間。
なんて贅沢なんだろう。


おばあちゃんは、私たちを暖かなハグで迎え入れてくれた。

テラスでチャイを頂きながら、タイランがここまでの道中を再現する(笑)。

「船にカモメが寄って来るだろう?カモメのパンをわざわざリュックに忍ばせて来る
だけならまだしも、小さい弱そうなカモメがいてね、それにどうしても
パンを食べさせるって言ってきかないんだよ」


どうやら私のことらしい(笑)。

「優しい娘さんなんだねえ」

「何度やってもダメでね、最後、僕に他のカモメの注意を引かせておいて、
彼女はチビに『絶対これを食べるんだよ!いい?』とか言ってるんだ。
そうしたらそれをちゃんと食べたんだよ!」


「おや、まあ!」

「どう思う?カモメと意思疎通しちゃうんだよ(笑)。びっくりしたよほんと」

面白おかしく話して聞かせるタイランに、おばあちゃんは何度も
年輪の刻まれた顔をほころばせた。
孫が可愛くて仕方ないといった様子で。

「彼女はね、諦めなかったんだ。強い女性なんだよ」

(^^;;;

「そうなのかい」

「いつも弱いものへの気遣いを忘れない、本当に優しい女性なんだよ。
僕はそんな彼女が大好きなんだ」



タイランの言葉に、私は胸がいっぱいになった。
そんなふうに思ってくれていたなんて・・・。

おばあちゃんは深く頷きながら、微笑んでくれた。

「お前の選んだ女性だもの。間違いがないことくらいおばあちゃんにも分るよ」

「ありがとう、おばあちゃん」

タイランがおばあちゃんを抱きしめた。


一人暮らしのおばあちゃんのために、溜まった力仕事をタイランがしている間、
私はおばあちゃんの話し相手を任された。

「私は、あの子がもしかしたら一生結婚しないかもしれないと思っていたんだよ。
でも良かった・・・こんな素敵な人を連れて来てくれて」
(注:この時点では、私とタイランの間にまだ「結婚」の話は出ていなかったのだが(^^; )


結婚しないかもしれない?  一生・・・?


                     ・・・・・後編へ 続きます



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by bizim | 2007-01-27 00:00 | 出会い ~ 結婚まで
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